それでも、これをやってよかった?(02/5/20)![]()
誰それが日本代表に入ったやら、
なんとか国が日本入りし、キャンプに入ったやらで、
最近のスポ−ツ・メディアは
12日後(?)に迫ったワ−ルドカップ一色だ。
だけど。
サッカーファンには悪いが、
そういう大騒ぎはきっと今のうちだけなんだろう。
各地に造られた馬鹿デカイ施設やら、
誘致に大騒ぎした自治体やらが、
たったの数日、たったの1-2試合のために致命的大赤字を抱え込むことは必至で、
実際、ここまでの動きというか、
そこまでのノリは、
かなり異常な世界に属する光景だったと思う。
やる前から、6万5千人収容の幽霊スタジアムの姿が目に浮かび、
ものすごく憂鬱な気分になってしまうのは、
本当に僕だけなのかなあ??
さて、そんな中。
昨日のNHKスペシャルで、日韓新時代特集のようなものをやっていた。
さすが「N特」(古古古)だよね。
時代からの進み度合いも、切り口の思い切りもいい。
かなり強引な部分も含めて、制作者の思想や本音がきっちりと表現されている。
そして、もちろんよく取材もされてる。
特に日本の高校生が、元従軍慰安婦のおばあさんを訪ねて泣き出すシーン、
それと「話を聞きにきてくれて嬉しかった」という、おばあさんのコメントには、
不覚にも涙しちゃったよ。
で、内容はこう。
まず、起承転結の「起」の部分で紹介されたのは、
日本側から、
韓国デビューした日本女優と、
すでに現地デビューしている若手辛口日本人コメンテーター。
また韓国側からは、
漫画で日本人や日本文化を紹介している大学教授と、
「シュリ」に代表される韓国の映画や音楽を日本に紹介しようとする
日韓の業界人コンビが紹介された。
文化交流を通して、若者どうしが理解しあえる素地ができ始めた、
言い換えれば、
これからはもう「偏見じじい」の時代じゃないのよね、
みたいなことを言いたかったんだろう。
次に、「承」の部分で紹介されたのは、
歴史教育をめぐる高校生や小学校の先生同志の交流。
それに、カンボジアに学校を作る活動をしている日韓学生のNPO。
まあ要するに、無知すぎる日本、民族主義的すぎる韓国の両方に問題はあるが、
解決のための取り組みが始まってきている、みたいな話だ。
続く「転」の部分はIT先進国韓国の現状。
落ち目の日本よりも、すでに韓国社会の方がずっと進んでいる部分があり、
もはや日本にとっての韓国はイコールパートナーとも言える存在なんだよん、
ということを有無を言わさず印象づけた後、
日韓言語(文法は全く同じ:「1週間でちっとはできる気になるかも知れない韓国語講座」参照)の同時翻訳機の発達による、
さらなる両国関係発展の可能性が示されていた。
で、「結」の部分は生産量世界一となった韓国の製鉄会社と、
新日鉄の技術提携の現場。
その企業は、60年代に当時の多分、八幡製鉄の全面的な技術提供により誕生したのだが、
今や世界の1&2位で、
もはやその他ライバル国からは、ともに追われる立場になった。
この部分では、
一部趣味人や、しょぼい(?)業界だけじゃなく、
バカでかい、いわゆる「一流企業」だって、
すでにそういう協働体制に入ってるんだよ、
みたいなことを暗に強調し、ダメが押された。
なんとかいう新技術を共同開発した理科系のおっさん同志で、
打ち上げのカラオケをやってるシーンが、
なかなかに印象的だったぞ。
まあ。
ある程度わかってる者から言わせれば、
そんなに何から何までうまく行ってるはずはなく、
それぞれの部分で結構、誇張みたいな所はあったけど(笑)、
マニアックな部分を集大成して(?)
まんべんなく全ての分野で「その」可能性を示したことはよかった。
さて。
東京オリンピックの開会式を見ながら、
「それでも、やっぱりこれをやってよかった」
と遺したのは、三島由紀夫だった。
で、今回のに関して言えば。
なんだかんだ言っても、
日韓間で「そういう」可能性が感じられるようになったのは、
ワールドカップ共同開催のお陰だ。
もちろん。
今はそれなりに盛り上がってはいても、
あと半年もすれば、どうせこの国のメディアは、
各地に造られた馬鹿デカイ施設やら、
誘致に大騒ぎした自治体やらを罵り、物笑いにする側に回るんだろう。
今から3年後か10年後か50年後には。
「それでも」共同開催をやってよかった! ってことになるんだろうか?
今、最も気がかりなのは、
日韓で共同開催したこと自体が、
「そういうの」のとばっちりを受けることになるんじゃないかって点だな。