中国は、皮肉一杯に謝れ(02/5/21)



 中国の日本領事館での「事件」が、連日大きく報道されている。

 まあ、領事館敷地をめぐる「領土」関係の話など、
外務省の対応がかなりおそまつだったことは事実だし、
彼らの行動は、確かに「人権意識が低かった」とか「事なかれ主義」だとか言われても仕方ないものだ。

 また、繰り返し起こっていたことだからこそ、
ああいう「完璧な」ビデオ撮影も可能になったんだろう。

 ここまでは日本のメディアや専門家や国際世論の言う通りだ。


 だけど。

 現場的スタンスとしては、
僕にはある程度、
阿南氏や副領事がやろうとしたことに対する理解はできる。

 で、もし。

 マスメディアを通して、日本の皆さんが「人権」云々を思う気持ちが本物なら、
もしくは、
それが全くのその場限りのものであるとするなら、
この際、決めておいた方がいいことがある。

 @本当にこれから、大使館や領事館に亡命希望者が殺到したら、外交官や警備員は一体どうするべきなのか?
 
 Aボートピープルなどの不法入国者と、大使館・領事館経由で「人権」を云々される人たちの線を、どこでどう引くのか?

 さらにもう少しデカイ問題としては、

 B北朝鮮にクーデターか何かあった場合、日本はどう「難民」に対応するのか?

 なんてこともある。

 特にBについての現実性は小さい訳ではなく、
多分その数や100万を下ることはあり得ないっていう気がするのだけれども。

さて。

 知っている人は知っているし、そうでない人は全く知らないことだけれども。
 日本は基本的に「一部を除く外国人には来てもらいたくない」という政策を敷いている。

 「一部」というのはビジネスマンや留学生、先進国からの観光客のことで、
例えば、中国からの一般観光客には今だに「団体行動」が義務づけられ、
「逃亡しない」という証に、巨額のお金を付託しないとビザが降りない。

 万一「逃亡者」が出た場合、その旅行を主催した代理店には営業停止などの処分まで下る。

 大手の旅行代理店がなかなか(というか全く)将来のドル箱であることが分かりきっている中国市場にアプローチできないのは、
実際にはそういう事情がある。


 言いかえれば。
 対中国の場合の「一線」は、
始めから就労目的なのに「学生ビザ」で入学し、
実際には在籍するだけで後はひたすら仕事仕事仕事・・・
という一部留学生を、
実質上黙認するという所で引かれているって訳。

 余談だけれど。
 ホステスとかやってる留学生に聞くと、
学生の大半は中国人という「経営難」の大学があったり、
ブローカーやインチキ語学学校が法外な金を父兄からまき上げていたりで、
その実態にはちょっと驚くよ。 


 つまり。
 わが国には、かなりの頑な、かつ差別的な態度で、
日本国民のために「治安」を維持していらっしゃる皆様方がおり、
それが現在の日本国民の意思を具現化した所の、
国の基本姿勢であるということになる。

 中国領事館の人々はこのような基本政策に、
ある意味では忠実に対応したというだけだ。


 もちろん。

 僕は彼らの存在というか「お仕事」を、
かねてから、
かなり「やりすぎ」だと思っているよ。

 で、今回の「事件」については、
まずは中国側に、
「確かに領土内に入ったことは過失だった。日本国民の意思に沿ったことではあったが軽率であった」
みたいな部分について、皮肉まじりに認めて欲しい。

 「反省」の意を表すために、
領事館の警備を一時「自粛」してもいい(笑)。

 で、その代りに、
是非是非、もっともっと根本的な部分での「国策」に対しても、
猛然と反論してもらいたい。

 みたいな形で、
日本村民の考え方を変えるような決着を図ってもらいたいなあと、
僕は当面の、都合のいい展望を描いているのだが。