USJグランドオ−プン(01/3/3)![]()
今週の大阪はUSJのグランドオ−プンやIOC委員の視察があり、そこそこ盛り上がった。
特にUSJについては、多くの観光関係者が期待と不安の目で見守っている。
前売券は現時点で100万枚売れているそうで、まずまずの滑り出し。
ただ、西日本に比べ、首都圏での売れ行きがイマイチのようだ。
あと、平日についてはまあまあ空いているということらしい。
さて、僕の仕事がらみで言うと、USJ開業によるいい面が2つある。
第1に、歴史以外の関西の魅力の、柱のようなものが出来ること。
これからは内外に、「新旧」の魅力を、ある程度の自信を持って打ち出して行ける。
大阪は実は、大阪ナショナリストの皆さんが思っているほど、都会でも何でもなかったのだが、
それでもまあ、これで何とか国際観光都市として許されるレベルにはなった。
当然、関係者は海外や関西圏外へのPRがUSJ単品では苦しいこと、
あるいは開業から数年以降は、順風満帆の時期は過ぎるであろうことも強く自覚している。
多分、色々な局面で、僕たちの団体とも連携していく機会が増えると思う。
第2には、「ダメキン」(「駄目な近畿」という霞ヶ関用語)と言われ続けて来た関西でも、
ようやくここに来て、少しは関係者の意識が変わってきたことだ。
背景としてあるのは、まずは昨今の不況と、関空の開港による、海外旅行との競合。
京阪神からの一泊圏にある観光地は、ハワイやグアムや韓国との価格競争でまずへこんだ。
そして、京都駅開業や明石海峡大橋開通以降続いている、関西圏在住のお客の奪い合い。
例えば、昨年は「花博」が開かれた淡路島北部が一人勝ち。
あとはほとんどの地域の観光客が減少した。
USJは当然、一過性のイベントではないから、その分、今はどの地域も戦々恐々だ。
相乗効果が見込まれる京都や神戸、圧倒的な資産を持つ奈良、
数年先の中部国際空港開港がある伊勢志摩などにはまだ見込みがあるかも知れないけれど、
その他の「ほっといても人は来る」的感覚でやってきた所は、軒並み苦しくなるだろうな。
まあともあれ、長いこと恵まれた環境に甘えて来た人たちが、
一定の危機意識を持つようになったのはいいことには違いない。
でもまだ。
正直言って、その方向や中味がちょっと違うんじゃないの? と思われる人や地域も多いな。
先日も、ある会合の席で、そういうちょっとヤバイ地域のエライさんが、USJ幹部にぬけぬけと発言していた。
「USJにおこしになる方を私たちの所にもひっぱって来ていただきたい。」
おいおい。
そんなこと、USJの幹部に頼んでどうする?
観光って、地域間競争なんだからさ。
それに、USJだって、客を囲った方がもうかるんだから。
また、今ごろになって、
「USJのお客を呼び込むためには、どんなイベントをすればいいんだろうか?」
なんてことを言い出した所もある。
そんな「イベント」に参加するくらいなら、皆、USJにいるってば。
「イベント」をネタに、たった1日5万人のお客を取り合うより、
2000万の関西住民にもちっとマシな情報を出すことが先決じゃないの?
さらに、ある施設はUSJを意識してか、数十億もの金を新しい設備やアトラクションに投資した。
驚くべきことに、この施設のアジアへのPR費およびPR行為はほとんどゼロ。
まずは、それがどこにあって、そこに行けば何があるかを「知ってもらう」ことが先じゃないの?
新しいアトラクションなんか見合わせて、
その10分の1の金でアジアへのPRをすれば、けっこうな成果が必ず出たのにな−と思うのだけれど。
まあ僕は当然、関西の各地域や観光関係者が「変わる」ことを望むだけで、
それらが駄目になることなど全く望んでいない。
でも、国際観光への取り組みを含め、ここ数年内に危機意識が形にならない地域は、
確実に淘汰されていく運命なんだろうな。
観光を支えるのは、結局は「人」だ。
勘違いをしている人、ボタンの掛け違いがあると思われる組織に、
いいサ−ビスを提供しろ、他人を楽しませろったって、どだい無理な話だ。
その意味では、勝負はもう、現時点でかなりつき始めているんだろうね。
ちょっと残念で、かつ可哀想なお話ではあるけれど。