21世紀は多分、こうなる(01/1/13)


 年末年始、あちこちの番組で21世紀予想をやっていた。
 中に「1901年の人たちが100年後をどう考えてたか」っていうのがあって、「顔が見える電話」とか「東京−神戸を3時間で走る電車」とか「夏は涼しく、冬は暖かい部屋ができる」とか「月に行ける」とか、当時の「夢想家」たちが色々と予想したこと(そのほとんどが実現)を紹介していた。

 先が見えないと言われている世の中だけど、100年というスパンで考えれば、かなり見えやすくなるものもある。
 で、「何十年後くらいには多分こうなるだろう」ってことが分かってたら、「だったら2020年はこれくらいかな?」みたいに、仕事やライフプランがたてやすくなると思った。



 (その1)日本人は6000万人

 1月4日の毎日新聞が、「景気主義の呪縛からの脱出 −GDP型発想はもう危険だ−」って社説を書いており、
「生産人口が減り始める4−7年後からはGDPは必ず減っていく」のに、1%上がって景気回復したとかみたいな議論ばかりしててどうするって意見が載っていた。
 実は僕、大学の卒論で「高度成長は続かない」ってことを人口動態と需要(消費)・供給(生産)の関係で論証したんだけど(昭和57年)、とても評判悪くて、その時のことを思いだした。

 まあ日本の人口は半分くらいになっていくことが統計的に確実なんだから、そろそろ、
適正人口の話とか、
減っていく人口や税収の下でどの程度の社会資本整備や福祉が必要かという話とか、
団塊の世代が年金に頼らない(死ぬまで働いてもらう)にはどういう政策がいいかとかに
頭を切り換えていくべきだと思う。

 ついでに、正月の「朝まで生テレビ」で、確か野坂昭如が
個人消費が伸びないとか言ってるけど、そんなもん余計なお世話だよ!」って言ってたのは、とても面白かった。


 (その2)行政サ−ビスの変質

 
人口が減れば、余るものがいっぱい出てくる。
 土地、家、学校などなど。
 ラッシュはなくなるし、地価が下がって所有空間は広がるし、入学試験も簡単。
 病院も待たされなくなる。
 でも例えば、病院は団塊の皆さんがいなくなったら、あとは経営的にはジリ貧だな。
 2010年くらいまでには、マイナス成長の経営学というか、経営方程式が確立されるだろうね。

 足りないものも出てくる。
 税収と人手。
 税収が減り続ければ、当然、公共サ−ビスはもたなくなる。
 それでもあと10年やそこら、行政は「強い者いじめ」(働く者・高額所得者への負担増)によって、サ−ビスを維持しようとするだろうな。
 当然、いい人から国を棄てて行くといった現象は加速する。
 悪循環が深刻化し始めるのは2010年。
 で、その揺れ戻しがあって、結局やっぱり「自立した国民」と「小さな政府」の組み合わせしかないってことになり、両者の「新しいつきあい方」が軌道に乗るのが2020年。

 まあみんな死ぬまで働けってこと。
 ボランティアチケットみたいなのを介して、助けあうことも含めて。
 行政は主にこれのコ−ディネ−トと安全確保が役割で、業務の5割がコミュニティ(福祉・教育)、2割が40万圏(現在の小選挙区もしくは昔の「藩」:地域経済)、2割が道州(産業政策・広域インフラ)、1割が国(外交・防衛)って感じに分権せざるをえないだろうね。


(その3)結婚制度の崩壊

 プライバシ−に関わることで、確実視されているのがコレ。
 2025年くらいには日本でも、結婚しない人が、する人を上回るだろうね。
 子供は親たちの人生に幻滅してるし、性の解放はおさえようがない。

 「結婚」って「子孫を残し確実に育てる」って意味ではいい制度だけど、所詮もともとは、
それを許可することで神の権威を高めようとする宗教側の策略だったり、
「どんな人でもいい歳になれば誰かとセックスできる組み合わせを作って」
社会を安定させようとする、王族や領主の思惑の産物だったりする訳だもの。

 わざわざ私生活のことまで役所に届けたり、周囲に認めてもらわなくてもいいよって人が増えるのは当然で、
ふと気づいたら、「みんなやらないね−」(わざわざその形式はとらなくなったね−)って感じになる運命なのだと思う。
 職場旅行や祝日の日の丸みたいに。


 (その4)石油はなくなる

 
2050年くらいにほぼ確実視されているのが、石油の枯渇。
 それでも人間は馬鹿なので、本気の代替エネルギ−研究がすすむのは2020年から。
 このころから石油は次第に高騰し、備長炭やかつてのナポレオンのような高級品に。
 各国も競って発掘に乗り出し、ロシアなどが投資に沸く。

 で、少なくとも、今の設計のままでは飛行機が飛べなくなり、ちょっと深刻な時期を迎える。

 環境問題も一層の深刻さを増す。
 「地球の寿命」が一気に縮まったという危機感が地球中をおおいつくす。
 コンピュ−タ−の発達と在宅勤務増により、通勤客激減に悩んでいた鉄道会社は、
その「恩恵」もあり、2030年くらいから現在の3分の1くらいの乗客で安定。
 マルイシ自転車がトヨタと肩を並べる企業に。

 車戦争は代替エネルギ−と環境問題に対応したメ−カ−が、世界で数社のみ生き残る。
 これが2040年くらいの状況。
 あとは「空飛ぶ自動車」を開発した自動車メ−カ−か、航空機メ−カ−か、ヘリコプタ−メ−カ−か、自転車メ−カ−か、制御機器メ−カ−の勝ち。

 以前、「空飛ぶ円盤」を開発しているアメリカのベンチャ−(当面は高層ビル火災や軍事偵察などに使用)を取材したことあるけど、けっこうマジメに研究してるんだよね−。


 (その5)世界通貨誕生と新しい(?)対立軸

 国家が溶ける。
 これは「朝ナマ」で田中康夫が使った表現。
 うまいこと言うね。
 21世紀はどこの国家に税金を納め、国民となるかはあくまで個人が決める時代になる。
 本当は、もうそうなってるんだけど。

 が、日本は移民政策にも結局踏み切れず、緩やかな「鎖国」状態に。

 そんな中、世界同時不況を契機として、ドルとユ−ロが結託。
 2015年までに共通通貨が合意され、再びアングロサクソン&植民地時代が到来する。
 アジアも当然、この波に巻き込まれ、5年後までに同通貨に移行。
 地域通貨として存続した円が完全に姿を消すのは2035年で、これ以降になると、どの国民も皆、英語とのバイリンガルが常識になる。
 日本語しかできない76歳は、タガログ語しかできないフィリピンのおじいさん扱い。

 既存の大宗教は次第に「タテマエ」の世界へと葬られ、大きな民族戦争は起きない。
 民族文化は生活や「商品」として残る。

 で、世界の対立軸は再び「貧富の差」へと移行する。
 当然、国家間ではなく、個人間での。
 2030年ごろからは、共産主義革命復活の不穏(?)な空気が再び世界に充満するが、中国・インドの経済発展とバ−ジョンアップした「国連V」の圧倒的軍事力によって、2040年危機は回避される。

 2050年には、ホワイトカラ−とブル−カラ−の「協調」が求められ、日本型モデル(資本主義だか共産主義だかよくわからんモデル)が、再び各国の羨望の的となる。
 「ワ」「ビョウドウ」「アクビョウドウ」「タタキアゲ」「ゲンバジュウシ」「EK(エリ−トナンカクソクラエ)」「MYA(MBAヤケドアキマヘンワ)」「リクツハモウエエ」などの言葉が国際語に。


 (その6)クロ−ン人間
 
 2060年、地球温暖化によって、冬季オリンピックが南極とグリ−ンランドの持ち回り開催となる。
 が、参加国は激減。
 普段の練習ができないこととあわせ、空港やホテルがないことが、その大きな理由。
 2070年、5つ位の島嶼国家が海の中に消える。

 「クロ−ン人間」は、21世紀初頭から各国で秘密裡に生産されてきたが、後半になり、資源・環境問題などの難局を乗り切るためには彼らの才能が不可欠という認識が世界に広まる。
 ただし、彼らに通常の人間環境を与えると「暴発し、ホンモノの人間を支配下におくこと」が確実視されたため、「独房から出さずに育てる」「奴隷教育の徹底」「いらん情報を与えない」「人口100万人あたり1人まで」といったことを取り決めた「国際非人間条約」(KHJ)が、2065年に締結されるに至る。

 その後一時期、 「クロ−ン人権」復興運動が勃発する。
 合い言葉は 「せめて、妖怪人間ベムになりたい」。

 ガス抜きの必要性もあり、夏季オリンピックは2075年から男女と男女クロ−ンの4つに分けて実施されることになり、男子100Mの優勝タイムはそれぞれ8秒95と3秒48だった。


 (その7)宇宙とのおつきあい


 エネルギ−問題の主役となるのは、宇宙開発。
 米ネットバブル崩壊がきっかけになり世界同時不況が訪れるが、生産拠点としてのアジアが立ち直ったのに続き、アメリカは宇宙戦略で復活する。
 2080年、ア−ムストロング船長のひひ孫が、大統領兼「国連V」最高議長に就任。
 世界の頭脳はヒュ−ストンに集中し、シリコンバレ−は「時代遅れのヒッピ−」がたむろする中小企業団地となる。

 200億あると言われる「生物が住める星」の中から、宇宙人の存在が確認。
 こいつがイイ奴かどうかで、地球の運命は急転する。
 2090年ごろの世紀末のお話。


 そして、22世紀。
 多分、地球はまだある。