サルでも分る、国家財政入門(?)(00/8/31)


 明日、来年度の国家予算(一般会計)の概算要求が締め切られる。
 でも、80何兆のお金のことなんて、大蔵省や一部の政治家を除けば、
皆、本当は全然ピンと来ていないんじゃないかと思う。

 1ケ月ほど前の「SPA!」に、あの「公的資金」で何ができたか?
という特集があり、政府保証枠の総枠70兆円では、

 ・年金(年間33兆円)2年間免除
 ・小学校を35万校建設
 ・関西空港級の空港(3兆円)を23箇所建設
 ・戦闘機(一機100億!)を7000機購入
 ・首都高速(年間2兆5000億で運営)28年間無料
 ・インド(国家予算6兆円)級の国を11箇国まるごと援助
 ・233万人の総理(年間給与3500万円)を雇う
 ・7万社の中小企業倒産を防止(特別保証枠の10兆円融資が1万社を救済したらしい)
 ・6年間、法人税が無税(法人税の歳入11兆円)
 ・5年間、源泉徴収税分を無税(年間13兆8000万)
 ・107万人の失業者(失業手当2兆1000億円)を33年間救済
 ・35万人の生涯賃金を工面
 ・3年間、国民医療費(年間24兆)が無料

 などができる(できた)みたいなことが載っていた。

 で、何はともあれこれを読んで、
税金や財政や景気対策やらの個別議論の前提として、
政治家や官僚は分りやすい言葉で財政を語ることを怠ってきたと思うし、
国民も、一人一人が、もう少し兆とか千億・百億とかの「感覚」をつかんでおかないと駄目なんじゃないかと思った。


 さて、現在、日本国の借金は、何と650兆円だ。
 これがどんなお金なのかをイメージできずに、「行革か財政再建か」みたいな議論をしていても、
埒があかないんじゃないかと思う。

 で、実際は細かくないんだけど、細かい点を全部省いて分かり易くいえば、
この650兆円也は、それをアバウト1億人で割った金額を、
結局は国民1人1人が、そのうち直接・間接に負担しなければいけないものだということになる。
 もちろん、この場合の「間接」の中には、会社の利益を通して支払われる金なんかも含まれる訳だけどね。

 で、働き手としてはこれに、赤ん坊から故郷で引退している両親までを含めた
家族数を掛けた数値を負担しなければいけないということになる。

 日本国の借金を一億で割れば、ゼロを8つ取るだけで、650万円。
 引退した親を含めて家族数が4人で働き手が一人なら、ローカル新幹線やら、ド田舎の文化施設やら、各国へのODAやら、ピンからキリまでの全ての公務員の生涯保証やら含めた、全ての「過去のサービス」に、2600万円も取り立てられなきゃいけないという計算になる。
 もちろん、その分の社会資本もでき、サービスも受けてきたことになる訳だけど。
 にしても、何とまあ。
 これだけの借金が残ってしまった。

 払えっこないよ。そんなもん。

 一体、今までの官僚や政治家は何してたんだって意見もあるだろうし、
特に高額納税者の中には、日本人や日本企業であることをやめたくなってしまうケ−スも多いだろう。
 でもまあこれが、この国の「民主主義」の結果だったということだ。
 社会資本も残っているし、サービスだって受けた。
 国としてはまだ、明らかにうまく行ってる部類だという見方だってある。
 もちろん、これからも必要不可欠な支出だっていっぱいある。

 で、そんな中で税制をどうする、政府を含めた行政の役割をどうする、
景気刺激策や救済策を含めた予算をどうするって話をしなければいけないのだと思う。

 予算が確定するのは12月。
 額は大きいが、考え方は家計と同じだ。
 各項目ごとの一家族あたりの平均負担額は、「割る一億、掛ける家族数」で簡単に出てくる。
 何よりも、どういうふうに借金を返していこうとしているのか、その戦略の有無や是非につき、よく観察すべきだと思う。